江の川流域エリアにおけるインバウンド向けアドベンチャー・ツーリズム開発プロジェクト

1.高まるインバウンド観光客への期待

東京オリンピックが開催される2020年に向け、我が国では、訪日外国人観光客4000万人、観光消費額8兆円の達成という野心的な目標を掲げ、各種取り組みを進めています。我々の事業フィールドである島根県・広島県等の中山間地域においても、これらの動きを新たなビジネスチャンスととらえ、その取り込みに挑戦することが期待されています。

このような中、広島県から島根県を流れる江の川流域エリアを中心に、インバウンド観光の取り込みに向けた新たな旅行商品開発とその受入体制整備を進めています。

 
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2.江の川流域エリアにおける取り組み

 我々の活動の発端は、平成30年3月31日のJR三江線の廃線です。JR三江線は島根県江津市と広島県三次市を結び、江の川の流れに沿って走っています。モータリゼーションの進展による鉄道離れ、沿線地域の急激な人口減少等による需要減少等、廃線の原因は様々ですが、JR三江線の廃線を地域活力の衰退に向けたマイナスの現象とするのはなく、地域が新たに立ち上がるチャンスへと転換し、地域の活力づくりにつなげるべく、地域内外の関係者とともに取組を進めてきました。

この中で、欧米豪を中心に成長を見せる「アドベンチャー・ツーリズム」に着目し、江の川流域エリアがもつ自然環境、景観、風土、温かな人との触れ合いなどを活かした新たな観光商品づくりを進めています。ここでは、神話の世界を今に伝える「出雲」と世界的平和都市「広島」を結ぶルート上に江の川流域エリアを位置付け、2つの日本を代表する観光地とのつながりの中で、当圏域の魅力を活かすコンテンツづくり、ストーリーづくりに取り組んでいます。

 
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3.ファムトリップを通じた商品のブラッシュアップと発信

 本年度は、「中国地方等の魅力発信による消費拡大事業」に採択され、ターゲットとする欧米の旅行会社のバイヤーを招聘した5泊7日のファムトリップを実施し、旅行商品の磨き上げと、ガイド等の地域側の受入体制の整備に取り組んでいます。「何もない田舎」と言われるエリアにおいても、点在する資源を掘り起こし、知的好奇心の高い外国人観光客の目線で磨き、統一的なストーリーをもって提供することで、付加価値の高い旅行サービスへつなげる可能性が充分にあります。

4.おわりに

 私たちエブリプランは、島根県という地方都市から地域課題解決のビジネスモデルづくりを発信することを目指し、ローカル、グローバルの2方向へ事業を展開しています。今後成長が期待されるインバウンド分野において果たすべく役割は大きいものと自覚しています。現在の取り組みを発展させながら、観光客、事業者、地域が利益を享受する仕組みづくりを進めたいと思います。

 
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